2015年4月17日金曜日

TOM RAINEY TRIO@ Clemente Soto Velez

クレメンテ・ソト・ヴェレズというプエルトリコの詩人がニューヨークに居た。
彼はプエルトリコで生まれ、文学者や詩人の有志と共に政治活動に参加し、
第二次大戦後にニューヨークへ渡り、逮捕、収監を経てなお政治活動、執筆活動を続けた。



 『孤独』         クレメンテ・ソト・ヴェレズ


飛ぶこと ただひとりで 
燃え上がる様な 想像の空の上を
飛びまわること

ただひとり
終わりのない
人生飛行を
創造すること

考えること ただひとりで
考えること
すべての創造的な力が集まればそうするように
ただひとり
ただひとり
ただひとり
光の中で振動する
手つかずの道理を求め
耳をすます




歌うこと
ただひとり
歌うこと
原子達が
行動する意志を歌うように
ただひとり
歌うこと
エネルギーの覚醒が伝えるように

孤独 ー孤独!

磁石の様な吸引力を持った雨雲
跳ね返してくる すべての生きる力の中でバランスをとる

孤独 ー孤独!
生命のこころ!


(訳:蓮見令麻)



かの詩人はこのような詩を書き、感銘を受けた同志達は、
のちに彼の名にちなんだ文化センターを設立した。
Arts For Artという団体がオーガナイズするこの文化センターでのパフォーマンス・シリーズに、詩の朗読やダンス、アート、という要素が必ず盛り込まれているのは、そんな歴史をこの建物が持っていることもひとつの理由だろう。

なかなか古いこの建物は、天井も高く、かなり響きの良い造りになっている。
今日はここでトム・レイニーのトリオを見た。
共演者は、レイニーのパートナーでもあるサックス奏者、イングリッド・ラウブロックと、ギタリスト、メアリー・ハルヴァーソンの二人。
トム・レイニーの演奏は以前何度か見たことはあったけれど、
今回は音響も良く、真正面から見ることができて、レイニーのドラミングの凄さをあらためて思い知った。
予測不可能な方向性、粗っぽいスティックさばきがはじき出すざらざらとした感触の音。
直線を走っているわけではないのにずっと存在する疾走感。
トム・レイニーの音は、アメリカの荒野を突っ切る風や空気を思わせる。
イングリッドの吹くテナーの、風の抜けるような美しく素朴な音がそのまわりを浮遊し、
メアリー・ハルヴァーソンの規則的なカッティングやエフェクトを多様した様々な音の羅列は、
少しぎこちなさを残しながらも、ひとつの世界観を作り上げていた。
なんというか、非常に個人主義的な即興演奏だと私には感じられた。
もちろん、良い意味で。
3人とも、自分の世界、自分の音のいく道をまっすぐにどんどん進んでいく。
私はこっちにいく。あなたはそっちにいく。それでいい。
もしどこか向こうの方で、また顔を合わせるかもしれないし、それもいいね。

そんな雰囲気だった。
そういうやり方は、私にとってはあるいは新鮮なもので、
それくらいお互いが自由にやっていて、心地が良い、それでもなんとなくまとまる、というのは素敵なことだなと思った。

荒野のまっただなかに、ただひとりでいること。
それでも、どん、と構えていられる、
そういう演奏者でいれたら。







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