2012年10月23日火曜日
ローランド・カークとアルバート・アイラー
ローランド・カークの If I Loved Youを聞いていた。
この人は、なんて直接的な感情を込めて演奏したんだろう。
とてもエモーショナルなのに、オープンで、フリーで、広がっていく、柔軟な音。
変幻自在な音楽のエネルギーの扱い方をマスターした人の演奏だ。
その手法と、ローランド・カークという人の中につまっているあらゆる種類の愛情が結びついて生まれた、まさに魔法のような音楽。
アルバート・アイラーを聞いても、同じ様な感覚を得る。
ドン・チェリーがアイラーについての話をしているインタビューで、こんなことを言ってた。
「商業主義的なやつらが、俺達みたいな音楽家を見つけて、いろいろとビジネス的な後押しをしてくれるようになるまではしばらくかかる。
それでもなにかしら、俺達は毎日演奏してるわけだ。
誰でも音楽家としてやっていこうと思った時に、やっぱり、お金のために音楽を演奏するという状況になる。でも、アルバートっていう人間は、お金のためでもなんでもなく、For the Love of God、神の愛のために演奏する、数えるほどしかいない類のミュージシャンのひとりだった。」
丁度、フリー即興を弾く意味について自分自身も少し考えていたところだった。
バークレーメソッドを大学で習って、理論に沿った弾き方をある程度習得し、
そういう演奏をしている他のミュージシャンの演奏も見たけれど、 違和感を感じずにいられなかった。
結局のところ、私という個人の世界は、反抗精神やヘロインに突き動かされる60年代でもないし、ジャズという文化を解体し、分解してその魂を取り除いてしまったアカデミズムの中でもなかった。
本当に自分が音楽を弾こう、表現しようと思った時に出て来るものが、
理論的な部分と乖離していたというのもある。
正直に言えば、癲癇を持っていたことは少し影響しているかもしれない。
西洋的12音階主義から抜け出した場所で、アメリカ音楽の好きなところをうまく自分なりに表現できるようになればいいと思う。
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