ジェームス・ボールドウィンの『ジョヴァンニの部屋』を読み進めているうちに、
山田詠美の書く世界との共通点を見つけた。
人間の、複雑で、生々しく、どうしようもない性。
それはいつも愛情と哀しみから生まれてくる。
私達の住む世界のそういう部分を、長い間私は見逃してきた。おそらく、故意に。
孤独を謳歌し、人の深い感情の湖に、自分の手を敢えて濡らし、水を掬ってみるということを避けてきた。
ボールドウィンを読みながら、その小説の中の世界に没頭していく中で、
並行して自分自身を取り巻く世界に同じ匂いのするストーリーが静かに流れていることに気づいた。
この一見なだらかに見える変化は、大きなインパクトを私の人生にもたらしつつある。
アリスコルトレーンのオルガンの演奏がインド古典音楽のハーモニウムの演奏からの水脈を受け継いでいる、
ということにもやっと気がついた。
自分の魂が、求めている芸術の形、それには、系譜の様なものがある。
その系譜を辿っていく事は、私の魂が求めていることを紐解いていくことでもある。
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