僕たちは海に潜った
僕たちは海に潜った
帰り道に砂浜で 砂にまみれた足を波で洗う時
波は僕たちの素足を撫で はじき 吹くのだった
生ぬるい水の感触は僕たちの理性を甘やかし
遠くに見える水平線が僕たちの理想を掻き回した
ラプ ラプと鳴る水の淵が僕たちの胸に届くころ
一匹の海猫が 近くの岩にとまった
海猫は 恍惚とした 救いようのない僕たちを一瞥し
そのまま目を閉じて眠った
ラプ ラプ
ラプ ラプ
僕たちの躰は 隙間のない海からの抱擁で
窮屈さと自由を 一度に感じていた
そして僕たちは海に潜った
その時から
すべては動き
すべては止まり
あらゆるものが同時に喋り
あらゆるものが同時に沈黙した
僕たちが海に潜った時から
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